チェコの最東部、シレジア地方へやってきた。その中心地オストラヴァと言う町である。ポーランドとの国境付近になる。この町は19世紀には石炭の埋蔵の発見により、工業都市として急速に発展してきた。オーストリア帝国にとっても一大生産拠点であった。しかし皮肉なことに、そのために二次大戦の際に多くの空襲を受けて町は大きく荒廃した。20世紀までにはほとんどの石炭が枯渇しているようで、現在は工業都市であった名残を残すだけである。
薄いガイドブックなんかには載っておらず、そこまで大きな観光地でもないが、この町にきた理由としてはシレジア地方というチェコの中でも別のエリアに来てみたかった、来れば何かボヘミアともモラヴィアとも違うものが見えるのではないかと思ったからである。それとかつての工場跡というのにも少し興味があった。
移動・オストラヴァへ
スロヴァキアのコシツェから一気に夜行列車に乗って移動して来た。コンパートメントをおばちゃんと2人で占領して来たのでなかなかに快適な移動ではあったが、どうもあまり寝付けずにいた。ようやく寝れたと思ったら、危うく寝過ごすところだった。なぜかはよくわからないが、車掌さんが起こしてくれた。客が降りる駅を把握してるのか…?助かったが、町の中心から1つ遠ざかった駅に降り立つことになった。しかも時間は午前3時。流石に暗く、バスもやっていないみたい。歩いて市内に行ける距離でもないので、とりあえず駅のベンチで寝ることに。人はいるし、危なそうでもなかった、良かった。
前回:大自然に囲まれた華やかで美しい町コシツェ – ちいさな心とおおきな世界
中心部・工場跡地へ
起きた。二度寝から起きた。時間は9時くらい。思ったよりもよく寝れたのは良かったけど、蚊に刺された。外もとっくに明るくなっていて人も出歩いている。とりあえず、唯一の目的地である工場跡地へ行くことにしよう。でも場所が全然わからない。別に建物の名前があるわけでもないみたいで、そのエリアに工場が立ってる感じ?あんまり想像もできないけど、インフォメーションで場所と行き方を教えてもらってトラムに乗って向かう。乗り換えた先で偶然先にオストラヴァに来ていた友達と合流。おお…
ちなみにオストラヴァは結構広くてバスもトラムも結構な種類・本数が走っているのでインフォメーションで地図をもらうと便利。どこに何番が走っているがわかる。
さっき教えてもらったエリアあたりで降りて歩いて見ることに。
建物はレンガ調で結構おしゃれでいい雰囲気だったりするのだが…その辺りいたるところに工場の跡が感じられて不思議なバランスを保っている。
なんかいかつい形の有刺鉄線、かっこいい。
多分かつて使われていたトロッコの線路か何かだろう。石炭とか運んでたんだろうなあ。現在は使われてなさそう。上から草が生えてきてるのがなんとも歴史の跡感を出している。
歩いているだけでよくこんなパイプラインみたいなのが頭上に現れる。ほんといかつすぎる。
ボルトタワーと工場見学
少し歩いていくとめちゃくちゃ高くて明らかに異様な雰囲気の建築物群を発見。ここが博物館とか見学できるとこになっているみたい。ボルトタワーという塔にも登れてまちを見下ろせるみたい。それにしてもこんな工場が残っている感じが珍しい。あんまりこういう街には来たことないかもしれない。
入り口付近に猫がいた。なんかこのいかつい建物とのギャップがすごい。余計可愛い。そんなのなくても可愛いけど。
ツアーに参加することでタワーに登りながら見学できるみたいなので参加。100コルナと地味に高かったので何故かオーディオガイドを借りるのを断ってしまった。おかげでチェコ語でのガイドツアー中全く何言ってるかわからないし(うそ、数字だけは聞きとれたよ)、解説してる間暇だし、なんか結構勿体無いことをした。ちゃんと英語のオーディオガイド借りるべきだなここは。
そんなわけでそれぞれが何にどう使われていたとかは全くわからなかった。完全に雰囲気を味わって想像しながら写真を撮っているだけの人になってた。
本当にいかつい。怖いけどかっこいい。ごちゃごちゃした感じ、鉄コン筋クリートっていうアニメの世界観を思い起こさせるなあ
なんかよく分からないパイプとかありがち。さび感がたまらんなあ。
結構お気に入りの一枚。よく分からないけど、なんかを支えているワイヤーみたいな線。よく分からないけど。
さびさびの階段を登って行く
石造のヨーロッパの一般的な建築とは全く別物の、時代の経過の仕方がわかる。
よく分からない絵があった。
パカって開けたらスイッチとかあるやつ。錆びてて開くのかすら怪しい。
最上部のエリア。ここだけ新しくて綺麗。高所恐怖症でも頑張ってる姿
上から見た工場エリア。巨大なドームみたいなのはなんだろう。パイプが伸びててなんか生き物みたい。
この高さから飛び降りる奴はいないと思うんだ
最上部へ続く徐々にずれて行く不思議な形の階段。高所恐怖症的にはこれは厳しいらしい。
景色自体は別に大したことなかったかなあ。緑が多くて、合間に工場跡と思われる大きいな建造物がたくさんある感じ。工場自体の方がよっぽどインパクト強いから。
遠くの方にも工場地帯が見える。活動中かな
最上部で自由時間が少し与えられて、再び降りて行く。
なかなかに独特な世界観だったなあ。演出がすごい。いや、演出というか全部本物で実際に使われていたものなんだけどね。可愛らしかったり、美しいものばっかり観ることが多いのでこれは珍しくてかなり面白いものが観れた。100分間、ツアーの説明していた内容は一切分からなかったけど満足なり。
完全に余談だけれど、「鉄コン筋クリート」っていうこのアニメ映画は本当に面白いから
レンタサイクルで市内中心の方へ
つたんの提案で市内にたくさんある乗り捨てレンタサイクルに乗って中心部の方へ行くことに。よく見たことはあったけど、実際に使うのは初めて。なかなかドキドキする。街内のあちこちに置き場があって、好きなところで乗って好きなところで降りれる。アプリ連動で乗った時間に応じて料金がカードで支払われれるって仕組み。なかなか便利だよなあ。しかもなんと初乗り15分間は無料なのである。そう言われれば乗るしかないっ!!初乗りを乗り継いで完全無料で中心まで行ってやろうと思ってたが見事に失敗した。1分でもすぎると料金は加算される。置き場が見つからなかったり、信号に捕まったり、チェーンをかけるのにもたついたりしてすぎることが多かった。15分って短いなあ…
それでも別に高いものでもないので、天気もよく気持ちよかったので大満足だ。ただ、ヨーロッパの自転車は当然車道を走らなくてはいけないので超絶怖かった。
中心部・ストドルニー広場
オストラヴァは旧炭鉱の街とは別に「眠らない街」としても有名らしい。なんでもこのストドルニー通りは昼はカラカラだが、夜になると店が開き、朝まで明かりを灯して呑んだくれているそうな…場所は違くてもチェコ人はチェコ人だな…。
残念ながら今回は夜にはここにいないのでその様子は拝めなさそう。残念!まあプラハで呑み明かせばいい話だ。ここでランチだけ食べてつたんは一足先にオロモウツへ。
異常な量があったアジアレストランの麺料理。でも懐かしい味…
市内中心部散策
さて、工場跡でかなり満足したし、お腹いっぱいで気分もいいが、せっかくなので中心の方も様子を見てみたい。そんなわけで夕方くらいまでちょっと散歩してく。
名前は知らないがかなり立派な大聖堂があった。閉まってたけど。教会閉まってるってどういうことよ。
中心は大きな広場になっていた。ここだけ見るとカラフルな建物が可愛いけど、特段何もない。
東の方に中世のお城があるそうなので歩いてそっちへ向かって行く。天気がいいとカメラを持って散歩しているだけで幸せだなあ。
松ぼっくり。春でもあるんだね。
素敵そうだったので川沿いを歩いて行く。自転車で走ってる人がたくさんいた。ここ走っても気分いいだろうなあ。
川に流れるハートと追いかける少女たち。のどかだ。
高架下
そろそろお城が見えてきた…この壁だけでかなり雰囲気あるなあ。
城前にあった意味が分からない木彫りの像たち。いや本当に意味がわからん。解明してくれ。
やっと城についた!
しかし、なんと…閉まっている。
ここまで来て切なすぎる。地味に遠かったのに。迷ったし。
でもまあ問題ない。なぜなら気分が良いから。城に行くべき時じゃなかったんだろうな。天気がいいし、歩き疲れたので目の前にある素敵な広場で休むことに
そんなに人も多くないこんな素敵な公園でしばらく寝てた。天気がいい日に外で寝るのってなんでこんなに気持ちがいいんだろう。
もう少しだけこの緑地の気分がいいエリアをフラフラして、オストラヴァをたつことにした。これ以上止まってたら、気分が良すぎて離れられなくなってしまう。
森林の中の線路
自転車もやっぱりたくさん走ってる
そんな感じでトラム乗って中央駅へ。そんな遠くないし、駅へいけばオロモウツ行きの電車なんてたくさんあるだろう。
まとめ
チェコの端っこだけど、オストラヴァ結構素敵な街。何と言っても19世紀の工場拠点としての跡地がやっぱりもの珍しかった。あれは他の都市ではなかなか見る機会ないんじゃないかな。
これだけ素敵な緑地・森林エリアが街のすぐそばにあるのも◎
これといって有名な何かがある訳ではないけど、行くと人も多くなくてのんびりできる街。工場跡の影響が大きいけど、街中の雰囲気もどこかプラハなど他の都市とはやっぱり違ったなあ。